Free Culture

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CODEおよびCOMMONSに次ぐレッシグの新作。
おもしろい。
何がおもしろいかって、レッシグがいう「バランス」が「自由」と「無料」を対象にしていること。
バランス感覚って、ある種のごまかしのように用いられることが多いが、レッシグは技術を前提にする文化が「変化」に対処しながら生み出されてきたことを指摘し、「変化」が創造性の源泉となってきたことを指摘する。
で、現在ほど少数の人間が「保護」と「規制」で文化を支配している時代はない、と断言している。自由競争を前提とする資本市場によるメディア産業の資本集中の結末が極端な規制と保護を生み、「おもしろいからちょっとやってみよう」というソフトウェアの創造的な開発を制限していることは確かである。その実験室としてインターネットは格好の場。
でも、その思いつきの結果がコンテンツを所有する巨大なメディア産業の琴線に触れたりしようものなら、個人のプログラマにも大人げなく数百万ドルの損害賠償を請求する。もちろん、アメリカ政府は司法のレベルでも巨大産業の「保護」を堂々と行う。「変化」がもたらす経済的なダメージに対して、過剰反応しているのが現在のアメリカである。
外国に対してももっと極端な対応が行われることも多く、ほとんど保護貿易と言ってもいいぐらい。

一方、パソコン雑誌の多くで、「CD/DVD作成の新常識・非常識」といった類のテーマは増えてきている。いろいろ種類が増えてきた動画や音楽のファイルの圧縮/コピーツールで、「うまい焼き方」を紹介している。音楽CDのリッピングからDVDのコピーまで、そのノウハウを公開しているモノが多い。良心的な類には、ご丁寧にも何が「常識」でどこからが「非常識」なのかについても言及してくれている。
AppleiPodiTunesというキラーソフトで再生しつつある。ついでにMacintoshも好調のようで、六本木でもPoweBookを広げている外国人を見かけることが多くなった。
音楽CDをiTunesに取り込んでiPodで個人的に楽しむ行為がOKという規制が、Appleを再生したわけだ。でも、それを物理的にそのiPodを友達に貸して、借りた友達がiTunesで吸い込んじゃったら違法だが、「数千万人の友達」を対象としたWinnyに比較すれば、それは「仕方のない違法性」ということになる。
「変化」はいたるところにあるものだ。
ところで、同じコピーでもこんな「変化」もある。
「たかがコピー、されどコピー」。ペットは死なない。
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これはアメリカ的にはいいんだね。

自由(=政治)と無料(=経済)をめぐる問題。これがもっともハードコアなテーマのひとつであることは、間違いない。