恩顧主義(クライエンテリズム)
- 作者: 小林正弥
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2000/12/01
- メディア: 単行本
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「西洋文化=個人主義」対「日本文化=集団主義」の図式は克服できるか
この問題は依然として古くて新しいらしい。
丸山眞男は日本の集団主義を対象化し自覚化することを促すことによって日本近代を克服しようとした。
日本文化の問題は「西洋文化=個人主義」の観点から「日本文化=集団主義」を批判する近代主義(戦後啓蒙)と、集団主義の特殊性を個性として強調すると、「保守派」や「右派」の言説に組み込まれ、言説の停滞をもたらすことを繰り返してきた。丸山眞男の「戦後啓蒙」を中心に同じ軌道をぐるぐると何度も回っている。回りすぎて摩耗しているかのようでもある。
かと言って、「新しい流れ」のような統計学とケーススタディによる実証主義なのか、人類学的な(マイクロ)エスノグラフィーなのか…
恩顧主義(クライエンテリズム)はこの両者を包摂しうる、比較研究や理論化になるのだろうか。
「親子」や「師弟」と同様に「日米」も「東西」も恩顧主義(クライエンテリズム)なのだろうか。
人類学の「一般交換理論」が陥った相対主義と運命をともにして「規範」を問う前に規範的にならないだろうか。